大寒初候 款冬華(ふきのはなさく)

朝からの雨で、今日はお月さまが見られるかと
心配していました。
見当違いの空を見ていたので、気がつくと、
あたりは真っ暗。
お月さまは、とっくに、高いビルの向こうに出ていました。
まさしく、旧暦師走の月夜だったのですが、
こんな月の写真を撮るのは、とっても難しいですね。

それにしても、『源氏物語』では、光源氏の
冬の夜の月はおもしろくあわれだというセリフの最後に、
わざわざ、
~すさまじき例(ためし)に言ひおきけむ人の心浅さよ~
(興ざめな例として言い残しておいた人の、浅はかなことよ)
と言わせています。
『枕草子』と同じ頃に成立したされる『宇津保物語』にも、
師走の月夜を趣きのないものとするような記述があるので、
当時の一般的な価値観だったのかもしれません。
でも、きっと、清少納言を意識していたんだろうな
という気はします。
その後も、古典には、『更級日記』や『徒然草』など、
師走の月や冬の月がすさまじきものというけれど……。
と前置きしているような記述がよく見られます。
私も、趣きを感じられる方に賛成ですが、
風情がないという見方もわからないではありません。
真っ暗な空だと、光が強すぎて、今回の写真のような、
殺風景な感じに見えてしまいますよね。
特に、都会の空では……。
さて、『寒月』と聞いて、思い浮かぶのは、
木島櫻谷(このしまおうこく)の屏風絵。
↓
インターネットミュージアム《木島櫻谷》
夏目漱石は、酷評したようですが、私は大好きです。
一昨年、初めて実物を目の前にして、すっかり魅了されました。
満月ではなく、二十日月ぐらいの月になっているところも、
寒々とした雰囲気にぴったりです。
今夜は十六夜ですから、
まだしばらくは、『寒月』を味わえそうですね。
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